Instagram( インスタグラム )では7月19日に投稿された画像に対する「いいね」と動画再生回数を非表示にするテストを日本で実施することを発表しました。今年の5月にカナダで開始されたこのテストは、より多くの国と地域からフィードバックを収集する為、日本、オーストラリア、ブラジル、カナダ、アイルランド、イタリア、ニュージーランドの7カ国で実施が開始されました。今回のテストはユーザーに「いいね」の数ではなく、シェアする投稿の内容やインスタグラム上の「つながり」を重視してほしいというインスタグラムの狙いがあるようです。非表示になるのは他人の投稿の「いいね」数のみであり、自分自身の投稿は自分のみが見ることができます。(投稿上の「XXXさん他が『いいね!』しました」をタップすると、自分の投稿に付いた「いいね!」数と動画再生回数を確認できる)今回のこのテストでどのような反響があったのか、そして「SNSMARKET.JP」的な今後の展望を予測しましたので、ぜひ最後までお読みください。
Instagram( インスタグラム )の公式Twitter
We want your friends to focus on the photos and videos you share, not how many likes they get. You can still see your own likes by tapping on the list of people who've liked it, but your friends will not be able to see how many likes your post has received.
— Instagram (@instagram) July 17, 2019
日本語訳
『私たちは、あなたの友人やあなたが共有する写真やビデオに集中して欲しいのです。 好きな人のリストをタップして自分のいいね数を見ることはできますが、友達はあなたの投稿がどれだけいいねされたか見ることができません。』
コンテンツ
Instagram( インスタグラム )で「いいね」が非表示になった反響
まずはこのようなテストが実施された影響を見ていきたいと思います。現状、試験的に導入されているこのテストは「いいね」数が見れる人と見れない人がおります。実際、あなたの周り、もしくはあなた自身のアカウントでこのテストが実施されている人と実施されていない人がいるかと思います。インスタグラム のこの動きに対し、TwitterなどのSNSでは賛否両論の声が上がっています。丁度インスタグラムの投稿表示不具合などが続いていた時期も重なってか #instagramDELETE というハッシュタグがTwitterのトレンド入りする事態にもなりインスタグラム自体をスマホから削除してしまう人も現れました。一方で賛成派の意見はTwitterなどではありませんが、いわゆる”SNS疲れ”から解放されたい人はそもそもインスタグラムを離れてしまっていると考えるのが妥当かもしれません。それでもインスタグラムを続けたい人にとっては今回のテストは良い試みかもしれません。次のパートでは非表示になったことで生まれたメリットを見ていきましょう。
インスタいいね非表示のメリット
自由に投稿を楽しめるようになった
今回のテストが実施される際に告知された中で明記されていた一番の目的として、「インスタグラムで写真を投稿する際のプレッシャーから解放する」というものがありました。2017年に「インスタ映え」という言葉が流行語に選ばれてから久しいですが、いまだにその熱が冷めることはありません。商業施設や、飲食物などでも「インスタ映えしているかどうか」が一つの判断基準としてつくられ、消費者も消費行動の際には「映える」写真を撮らなければならないというストレスにさらされているのです。朝起きたら、まずインスタ、、通勤通学中の電車の中でもインスタ、、寝る前もベットの中でインスタ、、、といったように気づけば一日中、友人や有名人のキラキラした投稿をもれなくチェックしている方もいるのではないでしょうか?そもそもインスタグラムは当初おしゃれな加工やフィルターによって写真を共有できるアプリで、その世界観が人気の理由だったのですが、それが一人歩き、もしくは人によっては暴走してしまっていると言えるのかもしれません。今回の「いいね」非表示によって、他人と比べようという意識が薄くなり、もっと自由に自分らしい投稿できるようになり、インスタグラム というコミュニティを楽しめるようになるのではないかと予測できます。
過激な行動・迷惑行為の減少
昨今 インスタグラム に限らず、すべてのSNSに言えることですが、「いいね」の為に過激な行動や迷惑行為に走ることが社会問題となっています。YouTubeやTwitterではコンビニの商品に細工する男や、冷蔵庫の中に入るアルバイト店員が話題となり、炎上騒動となりました。インスタグラムもその例外ではありません。「インスタ映え」する写真を撮るために周りのことを気にせず、迷惑行為や過激な行為に走る人のことを、その群がるような様子から「インスタ蠅(バエ)」と揶揄する人もいます。世界各地の世界遺産や人気スポットでも、私有地に勝手に入られたり、歴史ある建造物が破壊されたりする問題が度々話題になっています。日本においても立ち入り禁止エリアや道路の真ん中で写真を撮るような行為が平然と行われ、地元民からクレームが上がっている状況にあります。特にタピオカなどのインスタ映えするスイーツのブームの傍ではゴミの問題なども発生しています。タピオカはインスタ映えの為だけにわざわざ大きいサイズを注文し、飲みきれずに残ったドリンクが街中に捨てられるような事態に至っています。インスタ映えするソフトクリームも最後まで食べ切らずにゴミ箱に捨てられ、食べ物を粗末にしていると批判されています。
最近大阪でタピオカドリンクの店めっちゃできてるけど、インスタ映えのために買うだけ買って捨ててるのか、「店に入るから」と外に放置してるのか、単に飲みきらなかったのか知らんけど、道に捨てるなよ。
あるいは野生のタピオカドリンクの若葉かもしれんが、そうだったら…後で収穫に来よう pic.twitter.com/mg6RZ6C6MR— arukas (@arukas_lorso) May 18, 2019
「いいね」が非表示となることによって、加熱する「インスタ映え」と、それに比例して発生する社会問題、迷惑行為は減少するかもしれません。
いいね非表示のデメリット
Instagram( インスタグラム )で「いいね」が非表示になるメリットがある一方で、デメリットも発生することが考えられます。
投稿モチベーションの低下
メリットのパートでも述べたように、獲得できる「いいね」が自分にしか見れなくなるということは、投稿に対する「驚き」や「感動」の大きさは各個人でしか認識出来ないということです。世の中には人と比べることで自分のモチベーションを保つ人もいます。人から認めらること、もっと言えば、どれだけの人に認められているのかを披露したい人にとって、今回のテストにおいては無価値と判断されてしまっている訳です。そういった人達が「いいねの数が人に見られないなら一生懸命インスタ映えスポット行って、何十枚も画角や構成にこだわって写真撮る意味ないな」と考えるのも至極自然な流れです。インスタグラム はこういった熱心に写真をUPしてくれる人たちによって支えられています。そのような人達がインスタグラムを利用しなくなるということはインスタグラム自体の衰退を表すのです。
経済効果
インスタグラム のアクティブユーザー数、利用時間は今もなお増加傾向があります。人が集まる所にはお金が集まります。インスタグラムが現代のマーケティングに寄与する貢献は計り知れません。企業目線で言うと、時系列に沿ってタイムラインが流れてくるTwitterと違い、アルゴリズム式のタイムラインを採用しているインスタは、その他のSNSと比べても高いエンゲージメントを誇ります。情報発信ツールとしてこのエンゲージメント率は見逃さないわけにはいきません。それだけ自社商材に興味がある層に効果的にアプローチ出来るからです。特に「ショッピング機能」は自社インスタグラムのアカウントをサイトへ直結できるカタログのようにカスタマイズし、メインの顧客流入パイプとしているECサイトも多いのではないでしょうか?インスタグラムが衰退すると今までインスタグラムに依存してきた企業も大打撃を受けるのです。
インスタグラムが衰退した時に起こる個人目線の経済的損失はイメージしやすいかと思いますが、シンプルに購買意欲が削がれるというものです。昨今の「ファッション」「旅行」「外食」「娯楽」業界は「インスタ映えしているかどうか?」が重要なファクターになっています。海やプールに行った時も一度投稿した水着をダブらないように一夏に何着も水着を買う方や、数百円の浮き輪よりもインスタ映えする数千円の大きな浮き輪を買ったりと購買意欲がインスタ映えに依存している部分が大きいのです。インスタグラムの衰退はこうした個人の消費行動にも影響を与えるのです。
インスタグラマーの評価基準が曖昧に
前述の インスタグラム における経済効果の最先端を行くのが「インスタグラマー」の存在です。インスタグラマー達が商品やスポットを紹介することで、トレンドを形成し、一般消費者まで波及します。インスタグラマーもまた現代のマーケティングの一端を担っているのです。フォロワー数が1万人以上のマイクロインフルエンサーを含めると、日本にもたくさんのインフルエンサーと呼ばれる存在がいます。インフルエンサーを利用した企業の広告活動は一般的なTVCMや街頭広告と違い、より効果的かつ低コストで消費者にアプローチでき、コンバージョン率も高いと言われています。企業から依頼される案件当人のアカウントのフォロワー数にもよりますが、インフルエンサーにも収入が発生し、生計を立てている人も少なくありません。こうしたインフルエンサーマーケティングを企業が実施しようと考えた時、「いいね」の数は企業がより効果的に自社製品を紹介してくれる人を探す一つの基準となっているのです。もちろんフォロワー数がメインの基準ではありますが、そのアカウントがどんなことに興味関心を示すフォロワーを抱えているのかは「いいね」の数字で判断できるのです。「いいね」の数字が非表示になることはそのアカウントがどんな性質のフォロワーを抱えているのかが不透明になり、インフルエンサーを見つけてられても効果的に拡散できるインフルエンサーかどうかの判断が困難になるのです。
「今後の展望」
以上のメリット、デメリットを踏まえると、「いいね」が非表示になることは個人にとっては多少良いことがあっても、インスタグラマーや企業にとってはデメリットの方が大きいように考えられます。極論で言えばインスタグラムというアプリ自体のアクティブユーザーが減少し、ユーザーが離れていってしまうことも予想されます。これまでにも一時は爆発的人気があったが次第に使われなくなっていったSNSは多数存在します。このような末路はインスタグラムの運営側も望んではいません。対策として考えられるのは『画像ごとに「いいね」数の「公開/非公開」をユーザーが選択できるようにする』ということです。イメージとしてはYouTubeの動画再生回数表示の「公開/非公開」が選択できるようになっているのと同じです。これによって「いいね」数を見られたいインスタグラマーは公開にすればいいし、投稿ストレスを感じている人は非公開にできるので各個人がそれぞれの インスタグラム を楽しむことができるのです。インスタグラマーを目指す方なら今後も「いいね」を増やす努力を怠ってはいけません。いつ何時、自身のインサイトを人に見せる機会があってもいいように自信を持って自分らしい投稿を心がけましょう。また「いいね」が非公開になったとしたら「フォロワー数」や「コメント数」がより着目されやすい基準になりますので、そちらの方も意識した投稿をするようにしましょう。
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まとめ
インスタグラム のいいねが非表示になることは良い影響と悪い影響がある。
良い影響
・投稿ストレスから解放され、自由にインスタを楽しむ環境が整う
・加熱したインスタ映え写真を求める迷惑行為などの社会問題が減る
悪い影響
・写真を投稿するモチベーションが下がり、アプリの利用機会が減る
・インスタが衰退した時の経済的な損失が個人にも企業にも発生する
・自社商材の広報に効果的なインスタグラマーを探すのが困難になる
自分のアカウントにはどのような影響が出るのかきっちり精査し、今後の展開を待つと同時に、引き続き「いいね」「フォロワー」「コメント」がつく投稿を心がけましょう。
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